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写真集から生まれた美術館



本美術館は写真家髙﨑紗弥香の写真集「沈黙の海へ」(アダチプレス2016年)から生まれた美術館です。


髙﨑は2014年、単独行で43日間かけて日本アルプスを縦断しました。写真集はその際撮影した写真900枚の中から厳選された13点によって構成されています。1日に換算すると平均20枚ほどと元々多くないシャッター数の中からの選択は厳しいものでしたが、髙﨑の「この13枚で」という潔い決断でのことでした。


出版社のアダチプレスさんは、美術番組のプロデューサーをしている方から、「大手出版社を辞め、一人で出版社を立ち上げたばかりの、有能で気骨のある編集者」ということで紹介して頂きました。足立さんは丁寧に13枚の写真を何度も鋭い眼差しで見て、静かに「やりましょう」と言ってくださいました。


装丁は以前から足立さん、髙﨑、ギャラリーがそれぞれ共通して知己を得ていたブックデザインの鈴木成一さんに、帯文は髙﨑作品をいち早く見つけてくださった南條史生さんに、そしてプリンティングディレクターは東京印書館の髙栁昇さんにお願いすることになりました。これ以上ない方々に支えられて出版の運びとなりました。その時点で もう写真集は一個の人格として意志を持っているかのように凛として一人で歩き始めていました。


色々な方のお陰で産声をあげた写真集、そしてその写真集が大きな出会いを得て一つの美術館が生まれたことに心から感謝いたします。


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